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梅毒

概要

「梅毒トレポネーマ」という細菌に感染することによって起こる性感染症です。性交渉により感染することが多いとされています。感染した場合、感染から数週間の潜伏期間があり、その後全身へ症状が現れます。感染してすぐは症状が軽いため、発見が遅くなることもありますが、早めに治療を始めれば治るとされています。逆にいえば、早めに治療を始めることができないと、状態が悪化し、神経に障害を及ぼしたり、髄膜炎を生じて生命にかかわる重篤な状態になることもあります。また、母体の感染があると胎児にも影響してしまい、「先天梅毒」と呼ばれる症状が出ることもあります。感染者数は減少傾向にありましたが、2010年より増加傾向になってきています。

原因

梅毒に感染している人との性交渉により、粘膜・皮膚同士が直接接触し感染します。梅毒の原因となる細菌が体内へ侵入し感染すると、わずか数時間でリンパ節に達し、血流によって全身で症状を引き起こします。最初の段階では、症状現れないこともありますが、無症状の時期においても人に感染するリスクは高いので注意が必要でしょう。また、母体が感染していると、胎盤から胎児が感染する「先天梅毒」の原因になります。この場合には、早産・死産のリスクが高まると共に、奇形児に至る可能性もあります。出産時に問題がなくても、成長する段階で何らかの疾患を発病するケースがあります。

症状

感染からおよそ3週間を「1期」、1から3ヶ月経過したころを「2期」、数年から数十年の経過で「後期」の3つに分けられます。1期では、性器周辺や肛門周辺、口などの皮膚がただれたり、できものができ股周辺のリンパ節に腫れが生じます。その後症状は一旦治りますが、数ヶ月経った頃から2期の症状として、掌・足裏や全身に痒みや痛みがない赤みのあるぶつぶつが出現します。この症状も数週間で自然に無くなりますが、梅毒の原因菌は体内に存在したままになっています。そして数年経過した後期になると、柔らかいゴムのような腫瘍が全身にできてきます。この段階で治療をしない場合、全身の臓器に広がって、神経に障害を及ぼしたり、髄膜炎を発症するなど、生命に係る重篤な状態にまでなる恐れがあります。

検査・診断

血液検査を行います。梅毒の症状を疑う場合は、陰性であっても、感染後4週間して再検査を行います。診断には、病変部位からの菌体の確認が必要です。お住まいの地域によっては保健所にて無料・匿名にて検査ができるところもあります。

治療

一般的には、抗菌薬の内服による治療になります。近年、梅毒の治療薬として筋肉注射の製剤が承認されています。当院でもこの注射治療を行うことが可能です。

予防/治療後の注意

感染者との粘膜・皮膚の直接的な接触を避けるため、コンドームの着用を勧めます。ただし、100%予防できるとは限らないので、異常がある場合には性交渉などの接触を避け、早めの受診を心がけましょう。

また、感染者には一定の期間抗体がありますが、再感染の予防とはいかないのでコンドームの使用などが守られていなければ、再度感染する可能性があります。

参考/引用

https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ha/syphilis.html