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ブースター接種、ブースター効果って何?必要?いつすべき?

ブースター接種、ブースター効果って何?必要?いつすべき?

2021-08-26 Uncategorized

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ブレイクスルー感染:ワクチン効果はいつまで続く?

東京オリンピックのさなか、新型コロナウイルスの感染拡大がつづいています。これだけの感染拡大につながるものとして、インドから拡がったデルタ変異ウイルス(デルタ株)が話題となっています。デルタ株の感染力は強く、従来型の新型コロナウイルスに比べて約2倍の感染力があると言われています。

このデルタ株の蔓延するなか、ブレイクスルー感染が注目されています。これは、ワクチンを2回接種をしていたにもかかわらず、新型コロナウイルスに感染してしまうというものです。イスラエルでは、2021年7月から免疫不全の人を対象に、また8月1日から60歳以上の人を対象に新型コロナワクチンの追加接種(3回目の接種)を開始しました。同様の3回目の追加接種をドイツでも、やはり高齢者を対象として9月1日から行うことが報じられています。イギリスでも3200万人を対象として9月に追加接種を開始する見込みだと伝えられています。

イスラエルが3回目接種に踏み切った背景として、5月時点で94%あったワクチンによる発症予防効果がデルタ株の蔓延とともに64%に低下したと同国の保健省が発表していることが挙げられるます。

ブースター接種とブースター効果

既にワクチンの接種がすんでいる人に行うワクチンの追加接種を、ブースター接種と呼んでいます。一般用語としてのブースターは、出力を増加するものや、効果を増強するものです。医学・生物学でも免疫に関する用語としてブースター効果があります。ブースター効果は追加免疫効果とも言います。

ブースター効果とは、体内で一度作られた免疫機能が、再度抗原に接触することによって、さらに免疫機能が高まることを意味します。ファイザーやモデルナのワクチンは2回の接種で一定の免疫効果が見られますが、その効果が薄れてきた場合に3回目の追加接種によって免疫機能を高めることで感染を防ぐことを狙います。新型コロナウイルスは、高齢者や基礎疾患のある人が重症化しやすく、死亡の可能性が季節性のインフルエンザなどよりも遙かに高いことから危険なウイルスとみなされています。そのため、ドイツやイスラエルのように感染予防にも重症化を防ぐためにブースター接種を行うことに踏み切る国が出てきています。

わが国のブースター接種について、河野ワクチン担当大臣は、たぶん来年に打つことになる、と言う趣旨の発言を行っています。

誰を優先するか?

ただ、ワクチンのブースター接種に関しては今の時点で行うべきかどうかについて、科学の立場と政治の立場から、急ぐ必要はないとの見解も出ています。

アメリカのファウチ大統領首席医療顧問は、7月11日までに、フースター接種について、「米疾病対策センター(CDC)や米食品医薬品局(FDA)は予定の怪異数の接種を完全に終えた場合、現段階でブースターは不必要と設営している」と述べています。

また、世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は、全ての国でワクチン接種が進むべきであり、9月末まではブースター接種は一時停止(モラトリアム)すべきと語っています。これは暗に富裕な国家が豊富なワクチン供給をベースとして接種率を高めていることで、発展途上国に十分なワクチンが行き渡らないことを懸念として表明するものです。これに対して、アメリカは8月5日、ブースターと途上国のワクチン供給は両立することが可能なため、ブースター接種を止める必要はないと反論しています。

日本の場合、ワクチンの供給が十分でない現在、ブースターを始める前に全体のワクチン接種率を上げることが優先されることが必要でしょう。そして、他国のブースター接種のデータが集まってきたらそれを参考にしながら、ブースター接種の対象者の優先順位を決め、必要性、タイミングなどを決めていくことになるでしょう。今のところ時期が来年のどこかになりそうだということ以外、何も決まっていません。

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