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子宮頸がん

概要

子宮頸部という子宮下部の管状の部分に発生するがんを子宮頸がんといいます。 一昔前は40~50代の女性の発症が多い傾向にありましたが、最近では、20~30代の比較的若い女性の発症が増加しています。特に、30代後半の発症が多くなっています。国内では毎年約1万人が発症し、死亡率は約30%に上ります。特に2000年以降は発症率、死亡率ともに上昇傾向にあり、厚生労働省からワクチン接種(HPVワクチン)やがん検診(子宮頸がん検診)が推奨されています。

原因

子宮頸がんのほとんどは、ヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスの感染が原因です。このウイルスは、多くの場合、性行為で子宮頸部に感染します。HPVは男性にも女性にも感染するウイルスであり、性交経験のある女性のうち過半数が一生に一度は感染機会があります。HPVに感染すると、90%の人は免疫によりウイルスが自然に排除されますが、10%の人はHPV感染が長期間持続します。HPVが自然治癒しない人では、子宮頸がんの前段階(前がん病変)である子宮頸部異形成を発症します。異形成の時期では症状がなく、おりものや出血、痛みもありません。本人も気づかないうちに、数年以上をかけて子宮頸がんへ進行します。

症状

通常、初期段階ではほとんど自覚症状がありませんが、進行するに従い、以下の症状がみられるようになります。

また、進行すると以下のような症状がみられます。

検査・診断

  1. 細胞診検査:専用の器具で子宮頸部をこすって細胞を採取します。顕微鏡で、がん細胞や前がん病変の細胞を見つける検査です。数分で終わりますが、出血を伴う場合があります。出血は自然に止まります。
  2. 病理組織検査:細胞診の結果、異常を認めれば、精密検査が必要になります。コルポスコピーといって子宮頸部や膣を拡大して観察します。異常が疑われる病変を見つけたら、その部分の組織を採取し、顕微鏡で調べます。
  3. HPV検査:ハイリスクHPVといって、特に子宮頸がんを引き起こす可能性の高い型のHPVに感染しているかどうかを検査します。方法は細胞診検査と同じです。
  4. 内診や画像検査(CT、MRIなど) 病理組織検査の結果、子宮頸がんと診断されたら、子宮の周囲にある組織へのがんの広がりや転移の有無を調べます。

治療

子宮頸がんの治療方法は、以下の3つの治療法を単独、もしくは組み合わせて行います。

予防・診療後の注意

子宮頸がん検診は、婦人科検診の中で検診を受けることで死亡者が減少する効果(死亡率減少効果)が唯一証明されている検診です。子宮頸がんは、早期がんの段階で治療を行うと治癒率も高く、子宮を温存できる可能性も十分高くなります。

気になる症状がある場合や、HPVワクチン・子宮頸がん検診について尋ねたいことがある場合は、産婦人科医師に相談し、検診を受けることが重要です。

また、HPVワクチンを接種することで、子宮頸がんの原因であるHPVへの感染を防ぐことができるので、HPVワクチンについても検討するとよいでしょう。

参考・引用

子宮頸がん|公益社団法人 日本産科婦人科学会 (jsog.or.jp)

子宮頸がん検診について | 公益社団法人 日本婦人科腫瘍学会 (jsgo.or.jp)

子宮頸がん 基礎知識:[国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方へ] (ganjoho.jp)