1. 突然の腹痛、つらい嘔気(吐き気)、嘔吐、下痢の症状
2. ウイルス性胃腸炎
3. 細菌性胃腸炎
4. 診察内容と治療方法
5. 感染性胃腸炎を予防するには
食欲がない、何かいつもとお腹の調子が違うと思っていたら、突然腹痛、嘔気嘔吐、下痢の症状が起きる、その原因の多くは胃腸炎です。胃腸炎は大きく2種類に分けられ、ウイルス性胃腸炎と細菌性胃腸炎があります。胃・腸に炎症が起こり上記の症状が現れ、特に冬の時期に多く流行するウイルス性胃腸炎は嘔吐下痢症とも呼ばれることがあります。細菌性胃腸炎は、サルモネラ菌やカンピロバクターなど細菌に感染することで発症します。その他、寄生虫や薬、毒性を含む化学物質が原因で起こる胃腸炎もあります。
ウイルス性胃腸炎(嘔吐下痢症)の主な原因は、ノロウイルス・ロタウイルス・アデノウイルスなどで、感染経路は主に2通りです。
❶人から人への感染 感染者の嘔吐物や便をさわった手を介しての感染、もしくは乾燥した嘔吐物から飛散したウイルスを吸うことで感染
❷汚染された水や食品からの感染 主に貝類によることが多く、しばしば汚染された二枚貝を十分に加熱せず食べることで感染
ロタウイルス感染とアデノウイルス感染で起こる胃腸炎は乳幼児に多く見られ、ロタウイルス感染の胃腸炎の場合には、白い下痢から水のような下痢に変化し、症状が回復した後も注意が必要です。1週間程度、便にウイルスが混じった状態で排泄される可能性があります。
ノロウイルスは、感染者の腸管内で増え、感染力が強く、どの年齢層でも多く感染します。ノロウイルスによる食中毒や感染症は1年を通じて発生していますが、冬になるとピークを迎えます。 ウイルスに感染してから、24~48時間ほどで嘔気、嘔吐、下痢、発熱、腹痛などの症状が現れます。1日に何度も嘔吐するケース、数回の嘔吐が2-3日間続くケースなど個人差はありますが、3日~1週間ほどで改善します。乳幼児は下痢の症状が長引くこともあるので、脱水症状を起こさないためにこまめに水分を摂ることが必要です。
細菌性胃腸炎は卵や生肉などに付着したサルモネラ菌やカンピロバクターなどの細菌感染によるもので、夏季に多く発生します。生肉を手で触った後十分に洗浄することなく調理をしたり、しっかりと火を通さずに肉を食べたりすることで感染します。また、ペットから細菌をもらい下痢や嘔吐、血便、それに伴い発熱を引き起こすケースもあります。動物に症状が見られなくても、感染源となってしまう場合がありますので注意しましょう。
腹痛、嘔気嘔吐、下痢の症状が出た際は、以下のような内容から医師が診断します。
もし、ウイルス性胃腸炎の場合、特別な治療方法はありません。こまめに水分を摂り、脱水症状にならないようにします。乳幼児や高齢者は脱水症状を起こしやすいため、水分が取れない場合は点滴治療を行うこともあります。早めに医療機関を受診しましょう。 また、嘔吐した場合は、胃腸を休ませるようにします。再嘔吐の可能性があるので、嘔吐直後の飲食は控え、1〜2時間空けて吐き気がおさまってから少量ずつ水分摂取しましょう。塩分が含まれている経口補水液などがおすすめです。
細菌性胃腸炎の確定診断を行う際は、培養検査を行います。細菌性胃腸炎の場合、抗菌薬の投与が必要になる場合があります。
ウイルス性胃腸炎と細菌性胃腸炎、これらを予防するために必要な事は、十分な手洗いと野菜などの洗浄、食べ物の十分な加熱調理です。また、感染者の便や吐瀉物に触れるときは手袋やマスク、エプロンなどを装着しましょう。 ノロウイルスの場合はアルコールの消毒は無効で、塩素系漂白剤(ハイターなど次亜塩素酸ナトリウムを含むもの)を薄めて使用する必要があります。 感染者が家族内に出た場合、トイレ使用後の消毒、お風呂は湯船を使用しない、タオルを一緒に使わないなどの予防に気をつける必要があります。
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参考情報
・DoctorsFile(ドクターズファイル) 胃腸炎
・一般社団法人日本大腸肛門病学会 感染性腸炎
・東大阪市 動物からうつる病気(動物由来感染症)について
・M’(エムズ)こどもクリニック瑞江ウイルス性胃腸炎について:嘔吐した時の対応
・厚生労働省 ロタウイルスについて
・厚生労働省 ノロウイルスについて
・厚生労働省 感染性胃腸炎について