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腹痛

概要

腹痛とひとつとっても、内臓痛、体性痛、関連痛の大きく3つに分けられます。

ひとことに腹痛と言っても、消化器系(胃や腸、膵臓)だけでなく、循環器系(大動脈、冠動脈など)、泌尿器系(精巣や腎臓)、婦人科系(子宮、子宮頸部、卵巣卵管)などに起因するもあります。医師の診察を受け正しい治療を受けることが大切です。痛む部位や強さ、痛み方、どのように発症したのかによって原因は異なり、併発している症状の有無も原因を特定する判断材料になります。

クリニックや病院を受診するときは、次のことを聞かれます。

・いつから痛いのか(例:昨日の夕食後から、今朝から)
・痛みに変化はあるか(例:食後に痛くなる、30分ごとに痛くなる)
・どの場所が痛いのか(例:全体、みぞおちの辺り、右下)
・どのように痛いのか(例:ズキズキ、チクチク、刺すような)
・ほかに症状はあるか(例:下痢、はき気、発熱)
・そのほか(例:飲んでいる薬、アレルギー、これまでかかった病気やケガ)

腹痛が起きている際に症状をうまくく伝える事は難しいかもしれません。しかし、これらの情報があると診察がスムーズになるでしょう。家族に協力してもらって説明できるといいですね。

原因・症状

多くは胃痛で原因は胃炎や胃潰瘍、十二指腸潰瘍などです。
食後に痛む場合は、アニサキスなど食中毒を疑うこともあります。激痛の場合は、心筋梗塞、潰瘍・穿孔の可能性があり緊急性が高くなります。また胃ガンなども考えられます。

急性肝炎、肝硬変、肝臓ガンの場合は疲労しやすいなどの症状を伴います。
胆嚢炎、胆石症、アルコール性肝炎では、発熱、黄疸という症状も出ます。

虫垂炎が代表的で、悪心、嘔吐、発熱を伴う場合があります。

鈍痛や不眠の症状がみられる場合急性膵炎を疑います。
体重減少、背部痛がある場合は膵臓がん、粘血便がある際は大腸ガンの疑いを考えることもあります。

大腸の病気として過敏性腸症候群、時に腹部全体も痛む場合は急性大腸炎の可能性があります。
下血、粘血便、不眠の症状がある場合は、潰瘍性大腸炎を疑うこともあります。

血尿がある場合は腎結石、尿路結石の可能性がありますが、女性で激痛の場合は子宮外妊娠という緊急性の高いケースも考えられます。

頻尿、血尿がある場合は膀胱炎、おりものが増加している際は卵管炎、卵巣炎を疑います。
発熱を伴う場合、骨盤腹膜炎の可能性があり緊急性の高い疾患であることもありえます。

激痛の場合は緊急性が高く、急性汎発性腹膜炎、腸閉塞、腸間膜血管閉塞症が原因として考えられます。鈍痛の場合、腹部が張っている場合は慢性腹膜炎、ガン性腹膜炎を疑います。下痢や発熱、嘔吐がある際は急性腸炎のケースが多いです。まれにクローン病と呼ばれる炎症性腸疾患の場合もあります。

治療法・対策

治療方法は疾患によって異なります。便秘やストレス、食べ過ぎの場合は市販薬を使用することがありますが、市販薬にはさまざまな種類の薬が配合されています。それに対し、病院で出される薬には1成分で1薬剤の場合が多く、ひとつの症状に対し特化しています。

腹痛以外の症状がある時、また腹痛の種類によっては早期に対処が必要な場合もあるため、自己判断で我慢をすることなく早めの受診をお勧めします。医師の判断、治療方法に従って対処しましょう。

参考・引用

大幸薬品株式会社:健康情報局 おなかのトラブルと対処法「腹痛」
学研キッズネット:なぜ?を楽しく「おなかが痛くなるのは、なぜ?」
薬剤師に聞く【腹痛におすすめの市販薬】の選び方。下痢・便秘・ストレス腹痛など
日本臨床検査医学会ガイドライン:「腹痛」(Abdominal Pain)