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東京オリンピックのさなか、再び新型コロナワクチンの感染拡大が起きています。日本の現状では、ワクチン接種を2回とも終えた人にも、飲食店やコンビニなどで「マスク着用しなくて良い」ということはなく、外出時のマスク着用はいわば義務化されています。そして、厚生労働省のホームページには、ワクチンを接種した人にもマスクをするようお願いする旨のメッセージが記されています。
日本よりワクチン接種が進んでいるアメリカでは、一度はマスク着用推奨が緩和されました。けれども、再びマスク着用が義務化される動きに戻っています。どういうことでしょうか?そしてなぜ、いつになったらマスクなしで外出できるようになるのでしょうか?
ニューヨーク州など、アメリカのいくつかの州では、新型コロナワクチンの接種完了者に対して、マスクの義務化が解除されていました。5月ごろのことです。アメリカの疾病対策センター(CDC)が、同様の指針を出していたことに対応するものした。マスクをしなくて良い、ソーシャルディスタンスに気を遣わなくて良いといったことがワクチンの接種をするためのインセンティブになり、ワクチン接種率を上げることにつながるとの思惑も働いていました。
ところが7月になってCDCは7月27日に方針を変更し、ワクチンの接種を完了した人も新型コロナウイルスの感染率が一定の水準を超えた地域で働いたり住んだりしている場合には屋内でのマスクの着用を推奨することにしました。その背景にはインドで確認された変異ウイルスの「デルタ株」の急激な感染拡大が影響したと言われています。
しかし、ワクチンの接種はこれまで、感染すること、感染が重症化すること、感染を拡大させないことのいずれにも効果があるとされていました。もしそうなら、デルタ株の感染拡大があったからといって、ワクチン接種を済ませた人にマスクの着用を推奨する積極的な理由は見いだされないはずです。
ワシントンポストが入手したCDC内でのプレゼンテーション(注:リンク先英文)に、そうした方針変更に関わるデルタ株の様相が書かれていたとのことです。デルタ株は水疱瘡のように感染力が強いうえ、重症化しやすく、希ではあるがワクチンを接種した人が新型コロナウイルスに有症状で感染したり、伝搬の媒介をしたりすることを認める必要があるとのことです。つまり、今の状況下でマスクなしでは、感染拡大のペースを抑えきれないことが示唆されているわけです。
7月30日の段階ではそうしたことはCDCとして公式見解として認めているわけではないので、マスク着用のガイダンス変更とそのプレゼンテーション内容の関連性は確定的なものとまでは言いにくい状況です。しかし、CDCが科学的根拠なく方針変更することは考えられないので、その根拠の一つとしてこのプレゼンテーションが影響している可能性は少なからずあると思われます。
皆がマスクなしの生活に戻るためには、当然ながらマスクなしでも新型コロナウイルスの感染拡大が起きないことが前提となります。感染拡大が起こらないようにするためには、多くの人が体内に抗体を持ち、ウイルスに対する免疫が獲得できているという状態が作り出される必要があります。そのような状況は、大多数の人がウイルスに感染して自然に抗体を持つようになるか、ワクチンによって抗体をもつようにするかの2つの選択肢しかありません。
逆に、多くの人がワクチンを接種して集団免疫が獲得できている状況になれば、感染爆発は起こらなくなり、マスクの着用が「義務に準じたマナー」でなくなる日もやってくると思います。それまでにあと数ヶ月はかかると思われますが、ワクチン供給が滞りなく行われ、2021年内には普通に会食ができるような日常が取り戻せたらいいですね。
ゼロマチクリニック天神は、新型コロナワクチン接種を推進することを通じて、皆さまが元通りの生活を再び送れるようになることを願っています。
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