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産後トラブルに要注意!「乳腺炎」の症状と対処法

2024-07-23 Uncategorized

授乳が始まると、おっぱいのトラブルがたくさん起こります。今回は、お母さんたちを悩ませている乳腺炎の症状と対処法について紹介します

1.  妊娠中から胸が腫れるの?
2.  初乳は赤ちゃんを守ってくれる
3. おっぱいが張っている=母乳がたくさん溜まっているサイン
4. 乳腺炎になると熱が出てくる
5. 乳腺炎になったら、どうしたらいいの?
6. 乳腺炎が悪化すると、どうなるの?

1. 妊娠中から胸が腫れるの?

妊娠すると、おっぱいの中に乳腺が発達して授乳の準備をするため、胸が張る感じがします。
ただし、シコリが大きくなってきたり、胸の痛みが強い場合は産婦人科の先生に相談してください。
妊娠中は胎盤からホルモンが出て、母乳が出ないように止めています。赤ちゃんが生まれると、その後に胎盤も体の外に出てきて、身体もいよいよ授乳にむけて最終準備段階となります。

2. 初乳は赤ちゃんを守ってくれる

出産後1~2日目の母乳はレモン色で、ほんの少量しか出ませんが、「初乳」と言って免疫(ばい菌に対抗するための盾)が豊富に含まれています。初乳は、赤ちゃんの免疫力アップに一役買っています。母乳の量は、出産直後はごく少量で、赤ちゃんに吸ってもらうことで、数週間かけて少しずつ増えてきます。母乳の色はしだいに白くなり、乳糖や脂肪成分(エネルギー)が多くなっていきます。これを「成乳」といいます。

3. おっぱいが張っている=母乳がたくさん溜まっているサイン

お産を終えて3~5日頃に多いですが、おっぱいが張ってきて痛みがある状態を「乳房緊満:にゅうぼうきんまん」と言います。「おっぱいが張っている=母乳がたくさん溜まっているサイン」のため、授乳をしたり、しっかり搾乳(母乳を絞って哺乳瓶に出す)をすると、痛みや張りがおさまります。痛みが強かったり、おっぱいの一部分が熱く感じる場合はアイスノンでおっぱいを冷やしたり、痛み止め(アセトアミノフェン・ロキソプロフェン・イブプロフェンなど)を飲むことで症状が良くなります。痛み止めを飲んでも赤ちゃんには悪影響は無いので授乳は続けても大丈夫です。授乳を止めてしまうと、もっと母乳が溜まってしまい症状が悪くなるので注意してください。

4. 乳腺炎になると熱が出てくる

母乳が溜まり、詰まってしまうと、痛みだけでなく熱がでてきます。これを(うっ滞性)乳腺炎と言います。これは、ばい菌が感染しているものではありません。皆さんの母乳に含まれるインターロイキンが、おっぱいの中に留まり炎症を起こしている状態です。
熱が出る前に寒気を感じたり、熱と一緒に膝・肘・腰など関節痛など起こります。乳腺炎は、インフルエンザと症状が似ているので間違えられることもあります。

5. 乳腺炎になったら、どうしたらいいの?

詰まっている母乳を出してあげることが1番の治療となります。

これには助産師さんの協力が必要です。授乳の仕方(座り方や赤ちゃんの抱っこの仕方)を工夫したり、おっぱいの傷を治したり(乳頭ケア)、母乳が詰まっている部分をマッサージでほぐしたりします。 そして、炎症を下げるためには、お母さんがしっかり休むことが必要です。水分をしっかりとり、睡眠をとり、痛み止めと熱冷まし(アセトアミノフェン・ロキソプロフェン・イブプロフェンなど)を使って体を休めることが必要になります。 葛根湯は母乳の詰まりを改善する効果があり、乳腺炎に使用することがあります。
漢方の多くは、赤ちゃんには悪影響は無いので授乳を続けて問題ありません。

6. 乳腺炎が悪化すると、どうなるの?

乳腺炎が続いて治らなかったり、乳首の傷から細菌(黄色ブドウ球菌などの)が入ると、ばい菌に感染した状態になります(化膿性乳腺炎)。この場合は、抗菌薬(内服や点滴)による治療が必要です。
多くの抗菌薬は(日本ではよくセファレキシンなどが処方されます)、内服や点滴をしていても授乳は安全に継続できます。抗生剤は10~14日間内服し続けることが勧められていますが、良く効いてる場合は5~7日間程度でもよいとされています。 2、3日(48~72時間)経っても熱が下がってこない場合、膿がたまっている可能性考えないといけません(乳腺膿瘍:にゅうせんのうよう)。乳腺膿瘍は、膿の塊がおっぱいの中にある状態で、これを取り除くことが治療で重要です。超音波の検査で、おっぱいの中に膿の塊を確認したら、メスなどを使って切開するか、針を刺して膿を出します。また、抗菌薬治療も必要です。  

以上が、授乳と関連したおっぱいトラブルです。おっぱいのシコリが治らない、痛みが強いなど症状が続く場合は、まれですが乳癌などが隠れていることがあるので、産婦人科および乳腺外科や母乳外来などの受診をお勧めします。

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