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あたらしいつわり治療薬「Pruzena(プルーゼナ)」のご案内

Pruzena(プルーゼナ)は、妊娠初期のつらい悪心・嘔吐(いわゆる「つわり」)の症状を和らげるために開発されたお薬です。

海外ではBonjesta(ボンジェスタ)という名前で広く使われており、効果と安全性が臨床試験や長年の使用実績で確認されています。

本記事では、まずは一般の方に向けて、Pruzenaの効果や安全性、服用方法などをわかりやすく解説したいとおもいます。

Pruzenaとはどんな薬?

Pruzenaは、ビタミンB6(ピリドキシン塩酸塩)と抗ヒスタミン薬ドキシラミンコハク酸塩を組み合わせたお薬です 。

ビタミンB6

妊娠時の悪心を和らげる作用があることで知られています。

ドキシラミン

眠気を催す第一世代抗ヒスタミン薬ですが、妊娠中の吐き気に対して効果を示すことがわかっています 。ドキシラミンは体内の特定の自然物質(アセチルコリンやセロトニン)に作用し、吐き気の神経伝達を抑えることでつわり症状を軽減すると考えられています 。

この2つの成分が協力して作用することで、妊婦さんのつらい悪心・嘔吐を抑える効果が期待できるのです。

Pruzena™は、1錠にドキシラミンとピリドキシンを含む即放性の錠剤で、迅速な効果発現が期待されます(当院ではこの10mg錠を採用予定です)。なお、海外には徐放性製剤(Bonjesta)もありますが、症状や使用目的に応じて用量設計が可能な10mg錠の方が柔軟に対応しやすいとされています。症状に応じて1日最大4錠まで(例:朝2錠、夕2錠)服用する設計です。

Pruzenaの効果と安全性は?

効果

つわりの症状に対するPruzenaの有効性は臨床試験で確認されています。米国で行われた二重盲検ランダム化比較試験では、ビタミンB6+ドキシラミン配合剤の服用群はプラセボ(偽薬)群に比べ、つわり症状のスコアが有意に改善しました 。

研究の総括として、「ドキシラミンコハク酸塩・ピリドキシン塩酸塩徐放配合剤は、妊娠悪心・嘔吐の治療において有効で忍容性も良好である」と結論づけられています 。

効果には個人差がありますが、海外のガイドラインでもビタミンB6単独療法や本剤のようなビタミンB6+ドキシラミン併用療法は第一選択の治療法と位置付けられており 、症状が改善しない場合には早めに薬物療法を検討することが推奨されています。

安全性

Pruzenaは非常に確立された実績を持つ薬剤です。

主成分の組み合わせは海外で約60年以上にわたり使用されており、全世界で延べ3,500万以上の妊婦さんがこの成分を使用してきました 。蓄積されたエビデンスから、胎児への奇形などの有害影響は認められていません 。実際、複数の大規模研究(症例対照研究やコホート研究)で合計17万例以上の妊婦について調査が行われましたが、ビタミンB6+ドキシラミンの服用による先天異常や催奇形性のリスク増加は確認されませんでした 。

米国FDA(食品医薬品局)は本剤を「妊婦に使用しても安全性が確立されている」ことを示すカテゴリAに位置付けて承認しており 、カナダ保健省も「本剤の利益はリスクを上回り、安全で有効な治療法である」と結論づけています 。

こうしたことから、お腹の赤ちゃんに悪影響を与える心配はほとんどなく、安心して使用できるお薬といえます。

副作用

もっとも、どんな薬にも副作用はあり得ます。Pruzenaで特に注意すべき副作用は「眠気(傾眠)」です 。

有効成分のドキシラミンは眠くなる作用が強めのお薬です。そのため、服用後は車の運転や危険を伴う機械操作は控える必要があります 。

臨床試験でも、本剤を服用した妊婦さんの約14%に眠気がみられましたが、これはプラセボ群(約12%)と比較して若干高い程度で、眠気以外に顕著な副作用の増加は認められていません 。ごくまれに口の渇きやめまいなどの症状が出ることもありますが、重篤な副作用の報告はありません。また、本剤の服用中は母乳中に薬が移行し乳児に影響を与える可能性が指摘されているため、授乳は控えることが推奨されています 。

以上の点を守れば、Pruzenaは比較的副作用が少なく安全に使えるお薬です。

服用方法

Pruzenaは医師の指示に従って服用する処方薬です。

通常、以下のようなスケジュールで内服します。

  1.  初日(Day 1)  夜、就寝前に1錠服用します 。まずは夜間に服用することで朝の症状を予防します。

  2.  2日目以降  1錠で十分な効果が得られた場合は、引き続き毎晩就寝前に1錠ずつ服用します。症状がまだつらい場合は、朝に1錠、夜に1錠の計2錠に増量できます 。1日4錠(朝夕2錠ずつ)が最大用量で、それ以上増やしてはいけません 。

服用にあたっては、空腹時にコップ1杯の水で飲むよう指示されることが多いです(食後より空腹時の方が薬の吸収が良いため)。錠剤は割ったり噛んだりせずそのまま飲み込みましょう 。決められた用法・用量を守り、自己判断で勝手に増減しないことが大切です。

注意点

  • 車の運転は避ける

  • 授乳中は内服禁止

前述のとおり、服用中は眠気が出やすいため車の運転は避けてください 。仕事中など注意力を要する場合も十分気をつけましょう。また、授乳中の方は服用できませんので、授乳中の場合は必ず事前に医師に伝えてください 。そのほか、他の薬を飲んでいる場合も相互作用がないか医師が確認しますので、現在服用中のお薬やサプリメントはすべて申告してください。

服用開始後、症状の改善がみられたら無理のない範囲で食事や水分摂取にも努めてください。多くの妊婦さんで妊娠中期にはつわり症状が自然に落ち着いてきますが、薬を途中で自己判断で中止せず、良くなってきたタイミングで医師と相談の上で減量・中止するようにしてください。

海外での使用状況

海外では標準的につわりに処方されている薬です 。たとえば、米国では2013年にまず有効成分各10mgの製剤(商品名Diclegis)がFDA承認され、その後2016年に改良版として各20mgのBonjestaが承認されました 。これらは米国で唯一、妊娠悪心・嘔吐の適応で公式承認された処方薬であり、食事療法や生活改善を行っても症状が改善しない場合に用いることが認められています 。特にBonjestaは一日2錠までの服用で済む手軽さから患者さんのコンプライアンス(遵守率)向上にも繋がると報告されています 。

カナダでは1970年代から同成分の薬(Diclectin)が使用されており、現在も非常に一般的なつわり治療薬です。カナダでは年間約18万件の新規処方があるとの報告があり 、同国の妊婦さんに広く受け入れられていることがうかがえます。米国やカナダだけでなく、イギリスやドイツなど欧州諸国でも同様の薬が妊婦さんに広く普及しており、臨床試験の結果から安全であることが確認されています 。こうした海外の臨床現場では、つわりが重い場合には早めに本剤を用いて症状をコントロールし、妊婦さんのQOL(生活の質)を維持することが標準的な対応となっています 。

海外の産婦人科ガイドラインでも、本剤の有効性と安全性が繰り返し評価されています。米国産婦人科学会(ACOG)は「ビタミンB6単独またはビタミンB6+ドキシラミン併用療法は安全で効果的であり、つわりに対する第一選択の薬物療法とすべき」と最高ランク(エビデンスレベルA)で推奨しています 。

また、「妊娠初期の悪心・嘔吐に対する治療は、症状が悪化して入院が必要になる事態を防ぐためにも早期に開始すべき」とも助言されています 。このように、Pruzenaは海外では母体・胎児の安全を確保しつつ、つわりのつらさを和らげる標準治療として定着しているのです。

当院での導入について

当院でも、海外で確立されたこのPruzenaを導入し、つわりに苦しむ妊婦さんのサポートに役立てていく予定です。

日本国内では後述のように未承認医薬品の扱いとなりますが、必要に応じて医師の判断のもと適切な手続きを経て海外から取り寄せ、処方いたします

薬機法に則り、十分な説明と同意を得た上で提供いたしますので、心配な点や不明な点があれば遠慮なくご相談ください。つわりの症状で日常生活に支障をきたしている方は、一人で悩まずにぜひご相談いただければと思います。Pruzenaはきっと皆様の妊娠初期のつらさを軽減し、少しでも笑顔でマタニティライフを過ごせるお手伝いになるはずです。

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