結膜炎は、結膜と呼ばれる眼球の白目とまぶたの裏側を覆っている膜が、赤く充血して炎症を起す病気のことを指します。結膜炎のうち、アレルギー反応によって起こるものをアレルギー性結膜炎と呼びます。アレルギー反応とは、体の中に入ってくる異物を攻撃する免疫の一種ですが、異物を攻撃する際に自分の体の一部を傷つけてしまう場合のことをいいます。
アレルギー性結膜炎は、花粉などにより特定の季節に起きる「季節性アレルギー性結膜炎」と、一年間を通じて起きる「通年性アレルギー性結膜炎」に分類されていてます。
アレルギー性結膜炎にかかる人は多く、日本人の15%~20%が罹患しているとされています。
季節性アレルギー性結膜炎の85%は、スギ、ヒノキ、ブタクサなどの花粉が結膜に付着することよって引き起こされます。これらの花粉のようにアレルギー反応を引き起こす原因物質がアレルゲンですが、通年性のアレルゲンとしては、ダニ、カビ、フケ、ゴミなどが混ざったハウスダストが代表的になります。原因物質がヒスタミンの過剰分泌を引き起こすことにより、かゆみが生じることになります。
アレルギー性結膜炎は、結膜炎に見られる充血、涙目、目がゴロゴロするような異物感などに加えて、花粉症の症状として知られるように強いかゆみが代表的な症状です。
アレルギー性結膜炎の治療は、かゆみや充血を抑える抗ヒスタミン点眼治療が基本となります。それでも症状が治まらない、花粉の飛散がピークとなる時期などにおいては、ステロイド点眼薬を追加します。ステロイド点眼薬は眼圧を高める副作用があるため、定期的な通院による眼圧チェックが必要になってきます。
アレルゲンが特定の花粉である場合には、帽子やメガネを着用するなどしてその花粉に触れないようにすることが基本になります。外出先から帰ってきた際に、衣服に付着した花粉を払ってから家に入るなどの方法が有効でしょう。また、ハウスダストがアレルゲン(アレルギーの原因物質)の場合は、こまめに掃除機をかけるなどして、清潔を保つことや、通気や除湿を心がけましょう。またペットの毛などがアレルゲンの場合には、ペットの室内飼いを避けることが大事です。
Doctors File:アレルギー性結膜炎
千寿製薬株式会社:目薬と目の病気について アレルギー性結膜炎
日本内科学会雑誌第106巻:アレルギー性結膜疾患診療ガイドライン(第2版)
一般社団法人日本アレルギー学会:一般の皆様へ アレルギーを知ろう「アレルギー反応」